私は「ちゅーちゅー」というアイスが好きです。
子供の頃から、夏になるとよくちゅーちゅーを食べていまいた。
私は、このタイプのアイスのことをちゅーちゅーと呼んでますが、どうやら地域によって名称が違うようですね。
今回は、そんなちゅーちゅーが発端になって起こった、私の悲劇をお話したいと思います。
ある夜のこと
あれは今から10年ほど前、暑い夏の日の夜、私はちゅーちゅーをかじっていました。
確か、アメトークを見ながら冷蔵庫でキンキンに冷やされたちゅーちゅーを狂ったようにかじっていたんです。
普段の食べ方なら、真ん中のくぼみのあたりに膝蹴りを決め、パキン!と2つに割っていただくのですが・・・
いつからか私は、2つ割にして食べることに少し飽きていたため、先端の方を歯でかみちぎり、そこからちゅーちゅーを溶かしながら、ちびちびと食べることにハマっていました。
その日はいつもよりちゅーちゅーがすすみ、
5本目あたりだろうか・・・
ちゅーちゅーの先端を、前歯で噛み千切ろうとしていた時でした。
パキンッ!!!
という音と共に私の右の前歯の半分が、はじけ飛んで消えたのです・・・。
あまりに突然の出来事だったので、茫然としながらも、気づけば飛んでいった前歯のカケラを探していました。
部屋のあちこちを探すものの、前歯のカケラはいっこうに見つかる気配はなく、やるせない気持ちを抱えたまま、どうしたらいいのか分からず・・・
私は気持ちを落ち着けるため当時の恋人にメールを送ることにしました。
「すまねぇ。前歯を失った。」と。
数分してから、
「コーンを前歯につめてあげようか?笑」
という意味不明な返信が来たので、私は現実を受け入れらず、その日は眠ることしました。
翌朝
その日は、朝からバイトが入っていました。
行きつけの歯医者に電話を入れていましたが、どうやらバイトが始まる時間までには治療が受けられそうにありませんでした。
私は、前歯が欠けたままバイトをこなすことになりました。
そして、私が掲げたその日の最大のミッションは誰にも欠けた前歯を見せない事にしました。
前歯を見せずに生活することは、やってみると意外にも難しいものです。
鼻の下を伸ばしながら会話をし、笑う事は許されない。
たった1日のバイトが、ガキ使で言うところの笑ってはいけないと化し、笑えない1日を過ごしました。
今思えばマスクをすれば良かったと思うのですが、当時の私はそんな事には気づかず一人黙々とミッションを完遂したのです。
夕方
なんとかバイトを終え、歯医者に駆け込んだ私は、差し歯を入れることになりました。
その日の治療では、仮歯を入れてもらい前歯のある状態に戻してもらいました。
終わり際、先生から、
「固い者やガムなどを食べると、また取れるかもしれないから気をつけてね。」と言われ、
私は、
「助かりました、ほんとにありがとうございます。」
そう言って、深く頭を下げ歯医者を後にしました。
治療を終えた私は、前歯と笑顔を取り戻したのです。
その後・・・
私はちゅーちゅーを見つめていた。
そして、渾身の右膝を入れ、パキン!と2つに割りました。
それから、「やってくれたな。」と二ヤリと笑いながらちゅーちゅーをひとかじりしたのです。
あの日、消えてしまった前歯のカケラを想いながら。
あとがき
私はこのちゅーちゅーの悲劇以降ちゅーちゅーを食べる時は必ず2つに割って食べるようにしています。
そして歯を大切にしようと、心から誓ったのです。
実はこの話以前にも、ボクシングジムに通っていた学生の頃に虫歯になっていた前歯に、スパーリング中に右ストレートを撃ち込まれ、右の前歯が欠けてしまったり・・・。
数年後には、ビーフジャーキーの惨劇、ガムの悲劇、キャラメル事件と様々な問題に巻き込まれ、多くの歯を失った経験があります。
幸い、現在は長きにわたる歯医者への通院で、歯の健康は保たれています。
しかし、そこに至るまでには、多くの時間とお金、そして痛みと悲しみを伴いました。
今の私から言えることは、ありきたりですが「歯を大切にしよう。」という事と、ちゅーちゅーは割って食べた方が安全であるということなのです。
それではまたいつか。
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